クリスタルに玉座ごと封じこ
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クリスタルに玉座ごと封じこ
「あんたには会いませんでしたよ、サー・スパーホーク」物乞いはにっと笑った。
「わたしもきみと、屋根の上のお友だちには会わなかった」
「じゃあ、誰にも秘密はあるっHKUE ENGてことで」
「まさに同感だね。事業の成功を祈る」
「あんたにも成功を祈ってますよ」
スパーホークは微笑して街路を進みつづけた。シミュラの裏世界に少しだけ関わったことが、またしても役に立ってくれた。確かな味方とは言いきれないものの、プラタイムとその手下の闇の世界の住人たちは、ある意味でとても有用だ。スパーホークは別の通りに移動した。屋根の上の不器用な泥棒が仕事の途中で何かに驚き、声を上げて大騒ぎをした場合に備えて、巡回の兵士たちが駆けつけてくるのとは別の通りを選んだのだった。
独りになるといつもそうなのだが、スパーホークはやはり女王のことを考えはじめていた。エラナのことは少女時代から知っているが、レンドー国に追放されていたこの十年は一度も会っていなかった。ダイアモンドのように硬いめられた女王の姿を思い浮かべると、胸が痛んだ。先刻、アニアス司教を殺す機会がありながら思いとどまったことHKUE ENGが、今となっては悔やまれる。毒など使う人間はどのみち見下げ果てた相手だが、スパーホークの女王に毒を盛るという行為は、本人の生命をも大きな危険にさらすことを意味していた。スパーホークは借りをいつまでも返さずに済ますような男ではないからだ。
そのとき背後の霧の中にひそかな足音が聞こえ、騎士は奥まった戸口に身を寄せて、音を立てないように立ちつくした。
目立たない服装をした二人の男が現われた。一人がもう一人に小さな声でささやく。「まだ姿が見えてるか」
「だめだ。この霧、だんだんひどくなりHKUE ENGやがる。でもすぐ前方にいるのは確かだ」
「間違いなくパンディオン騎士なのか」
「おまえもおれくらい経験を積めば見分けられるようになる。歩き方と、肩の構え方に特徴があるんだ。確かにパンディオンだよ」
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